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2024年03月09日

ゆだねて眠る

大晦日の尾久キリスト教会の広瀬邦彦先生による説教。聖書箇所はマタイによる福音書第2章1323節。説教題は「ゆだねて眠る」。

今日の箇所に登場するヘロデ王は、自らの地位を嬰児イエスに脅かされることを恐れた。そのため、イエスを殺そうとしたが、イエスの養父ヨセフは『夢のお告げ』によって難を逃れた。その後、ヘロデは国内の2歳以下の男児を虐殺したという。それにしても、ヨセフはよく夢を見た。少なくとも聖書に4回、もしくは5回その場面が出てくる。ということは、ヨセフはよく眠った人。ヘロデ王に追われながらも『よく眠れたな』と思う。自分だったら、あれこれ心配して眠れなかったことだろう。

旧約聖書の詩篇1272節でソロモン王は「空しいことだ  朝早く起き、夜遅く休み苦労してパンを食べる人々よ。主は愛する者には眠りをお与えになるのだから」と歌っている。神は私たちが眠っている間も働いておられる。だから眠ることは、神に全てを委ねること。神への信頼の行為と言える。とはいえ毎日の生活にはいろいろな課題がある。なかなか心休まらない時もあるだろう。でも、神さまは夢の中でヨセフに語りかけ、智恵を与えてくださった。神は必要ならば夢の中でさえ語ってくださる。だから、私たちは、夜になったら安心して眠っていいのだ。

漫画家の藤子不二雄Ⓐ先生の座右の銘は「明日にのばせることは今日するな」。子どもたちにはあまり教えたくないが、大人にとっては時として大切なこと。藤子不二雄Ⓐ先生がこのことばに出会ったのは、戦後、アメリカ映画を観た時のこと。映画の中で生命を狙われた主人公の語ったのがこの言葉だった。『これが日本とアメリカの違いか』と衝撃を受けたそう。マタイによる福音書第6章 34 節のイエスの言葉を思い出す。「だから、明日のことを思い患ってはならない。明日のことは明日自らが思い煩う。その日の苦労は、その日だけで十分である」。 明日のことは、神さまと『明日の私』にお任せしよう。

さて、夢の中で神の御使い、即ち天使の知らせを受けたヨセフは家族を連れエジプトへ逃れる。身を隠していたが、ヘロデ王が没してから、再び夢の中で天使のお告げを受け、イスラエルに帰還する。

プロテスタント教会では天使について語られることは多くはない。しかし、聖書には天使の登場する箇所がいくつもあるので、私たちはその存在を無視する必要はない。詩篇第91 11節には「主はその使いたちに命じて あなたの全ての道を守られる」とある。ある牧師は誰かが手術を受ける時は、その人のため「神さま、天使を遣わしてこの方をお守りください」と祈るとのこと。そんな風に祈ってもらったら、どんなに心強いことか。だからと言って、私たちは天使に直接、何かを願うことはしない。天使を遣わしてくださる、神さまに祈るのである。

神は天使を遣わし、私たちの毎日の生活を守ってくださる。目に見えない天使を遣わすこともあれば、目に見える天使を遣わすことも。目に見える天使とは人のこと。神は身近な人や、時には見知らぬ人を送って、私たちを助けてくださる。そんな神さまの守り、助け、導きに感謝しつつ、この方を信頼して歩んでいきたい。

posted by take at 18:51| Comment(0) | 説教